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長崎で「第5回市民公開講座」を開催

放影研保存試料の活用について活発な議論

2015年1月31日(土)午後2時から4時半まで、長崎原爆資料館ホールにおいて、第5回長崎市民公開講座を開催した。この公開講座は、原爆放射線の健康影響に関する放影研の長年にわたる研究の成果について、原爆被爆者や被爆二世の方々をはじめ一般市民の皆様に情報を提供し、交流を促進することを目的としている。

このたびの市民公開講座は、昨年と同じテーマ「放影研保存試料の活用を考える」の第2弾で、放影研が保存する試料の、共同研究も含めた活用法に関して、長崎の一般市民の方々から意見を伺うために企画したものである。パネルディスカッション形式で行った今回の公開講座には100人を超す市民の皆様にご参加いただいた。

開会に当たり、大久保利晃理事長が、「放影研で保管する試料は、被爆者はもとより地元の方々のご理解とご協力によって集められたものである。これらの試料を将来にわたって管理・活用していくための基本方針は、ご協力いただいている皆様方と、広く一般市民の方々のご意見を参考にしながら決めることが肝要と考える。皆様の忌憚のないご意見を賜ることができればと期待しております。」との趣旨説明を行った。

最初の演者は、今泉美彩長崎臨床研究部放射線科長兼臨床検査科長が務め、「原爆放射線の健康影響について、これまでに分かったこと」と題して解説した。次いで、保存試料を使ってこれからどんなことが分かるかについて、放射線生物学/分子疫学部の楠 洋一郎部長と長崎臨床研究部の飛田あゆみ部長代理が説明した。まず「遺伝子の変化が語る健康と病気のヒストリー」と題して楠部長が話し、続いて飛田部長代理が「病気になる前の道しるべを求めて」の講演を行った。

これらの基調講演を踏まえて、小路武彦 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科長を座長に、パネリストの意見交換と、フロアーとの質疑応答が行われた。パネリストとしてご参加いただいたのは、中島正洋氏(長崎大学原爆後障害医療研究所 腫瘍・診断病理学 教授)、城臺美彌子氏(被爆69周年長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典「平和への誓い」被爆者代表)、永井徳三郎氏(長崎市永井隆記念館 館長)で、放影研の児玉和紀主席研究員と楠部長、飛田部長代理が加わった。

パネリストの意見として永井氏は、「被爆者の皆様から得られた試料は、宝石のように貴重なもので、試料には非常に多くの情報量がある。個人情報保護について十分気を付けてほしい」と、城臺氏は、「実際に放影研で健診を受診したら、これまで抱いていた印象とまったく異なった。長崎のデータが福島や他の放射線災害に役立つように使われるべきだ。」と、中島氏は、「試料の提供者である被爆者の方々のご理解を得ること、試料の保存体制の整備、生体試料の共同利用、共同研究を推進する体制の整備、使うためのルール作りが重要である。」と発言した。

続いて、会場の市民の皆様との質疑応答が行われ、「保存している生物試料を使うためのルール作りを検討しているようだが、放影研外部の研究者を含めてのルール作りを行っているのか」、「研究者の方々と被爆者の気持ちが離れているようだ。研究成果の情報公開、広報活動が重要である。」など、多くの意見が出された。

最後に寺本隆信業務執行理事が、市民公開講座への参加のお礼と、貴重なご意見を頂いたことへの謝辞を述べて、公開講座は終了した。